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日時

11月3日(金)
 
14:00−16:00 
13:45− 開場
 会場:H-367 






技術・己・芸術―21世紀の夜明け―

20世紀を皮切りに起こった芸術の分野での大きな変化と、それらが私達の美的感覚にどのように影響をもたらしたかについて、以下の点から考察したい。

1「起源とは何か?」 複製技術の発展によって芸術と生産の境界が曖昧化している。アメリカ・ポップアートや村上隆の『スーパーフラット』について考える。

2流行と相反する伝統的価値観が疑問視されている。古典文学や美術の価値観をマンガからも見出すことが出来るだろうか?

3芸術の分野はますます多元化している。つまり、美としての芸術は存続していくが、現代の芸術家の大半は美よりも世界に向けて何らかの提案をするということに傾倒しているのだ。大抵この手の芸術を完成させるには言葉や理屈が必要である。

4新しい表現の模索方法が有益かつ魅力的であるので才能ある人々は古くからの孤独な方法を見放した。それにより、絵画はカメラに負けるし、連載小説はテレビドラマに負けてしまう。映画は小説やドラマにとってかわったが、現在ではアニメとインターネットがそれを上回ろうとしている。こうした新しい表現方法は共同作業や少なくとも高度な技術によって支えられているのだ。

5ルネサンス以前の芸術家はそれぞれの感性によって喚起された豊かな創造力を持っているが、その数は少なくなってきている。

6「自分の好きなもの」は個人のアイデンティティを反映するが、大量消費文化の影響はとてつもなく大きい。



「自然の構造と数理の美について」
自然には構造があり、それを記述する数理にも構造がある。それらが 我々の美意識に訴える。むしろ、美意識は自然の構造を反映して、進化の過程で我々に備えられてきた認識の技かもしれない.物理,数学、化学,生物における例を挙げて一緒に考えたい.


1 音が美しい
その時々で言葉はそのspeech community がいちばん美しいと思う形態をとる、常に変化するのも、更に美しくしよう、今までとは違うものを美しいと思いたい人間の習性。

2 繰り返しが美しい
 英語に限らずどの言語においても、言葉は繰り返しを頻用する。必ずしも繰り返さなくていいところで繰り返す。

3 ルールが美しい
言葉は音から始まる、リズムを持つ、ルールにのっとって作り出され発信される。ルールによるということは予見できる、説明できる部分が多い、ということ。

4 文字が美しい
文字を作った人間の知恵なしに文明はあり得なかった。書いたものの持つ力、時空を超えてたくさんの人に伝えることができる。「書き残さねば」と私たちをつき動かすその力。

5 コミュニケーションが美しい。
分かり合えた喜び、気持ちが通じたときの連帯感。大学で学ぶ、教養を身につけるということは、言葉で考えを表現することができる。現象や考えを言葉にする方法を学ぶということ、「言えた」「分かってもらえた」という達成感を味わうための言葉。

6 しかし一方で、言葉は諍いの道具、人を傷つけ人を殺す武器にもなる。「たかが言葉、されど言葉。」言った、言わないの争いをどれだけ人間は続けて来たか、なぜ今も続けているか。世界が平和であるためには人間が互いに通じる言葉を使えなくなる状態にするしかないのか、国際語として皆が英語を使える状態になったことは、バベルの塔を作ろう、という傲慢を再び生まないか。地球村の平和のためにはバベルの塔が壊された時点に戻るべきということなのだろうか。言葉は美しい、しかしその美しさは他者への真摯な関わり方と言葉の持つ力に対する畏敬の念に裏打ちされてこそ可能なものである。



 イタリア産の対人地雷は、「キレイめSEXY」だとの声がある。醜い武器にまで、「ちょいワル」センスを出してもモテないと思う。
 真と善とを究めようとしてきた国際関係学に美から斬り込むとどうなるか。「バランス」に惚れるリアリズム。「ハーモニー」を夢見るリベラル。「フラクタル」に魅かれるのはマルキシズム。コンストラクティヴィズムは「ゆらぎ」の美学か。
「美しい国へ」と唱えるポリティシャンもいるが、本当の美しさとは何なのだろうか。いま、あなたの美的センスが問われている。


<割り切れる身体と割り切れない「からだ」>
ギリシャのピタゴラスは、直角三角形の各辺の関係を発見しました。ローマ時代の建 築家ウィトルーウイスは、理想的な都市を円と直線で構成される図形で表現しました。レオナルド・ダ・ビンチは、両手、両足のそれぞれが、円に内接する正方形の各頂点に一致する身体を理想と考えました。話題となったダビンチ・コードの冒頭に出てくるあの形です。
「美しさ」を構成するものは正数比や円や直線であるという発想は理解し易いものであり、その考え方は「健康」という概念にも反映されているのかも知れませんが、「美」を構成する要素とは何でしょうか、自然や「からだ」という観点も交えて考えてみたいと思います。